バックレスカメックスとは

「バックレスカメックス」は、ポケモンカードのテスト印刷段階で誤って生産されたとされる極めて希少なカードである。一般的なカメックスのカードとは異なり、背面が白紙(もしくは無地)になっているのが最大の特徴と言われている。裏面の印刷が行われていないため「バックレス」という通称が付いており、公式の配布や販売を目的としたカードではないと推測されている。

その起源は、1999年頃に英語版ポケモンカードを製造していた段階にまで遡る説がある。当時、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社(MTGなどを担当していた会社)がポケモンカードの印刷を請け負っていたが、そのテスト印刷の過程で生まれたサンプルの一部が何らかの経路で市場に出回ったという話が広く知られている。

実際に市場で流通している「バックレスカメックス」は極めて数が少なく、いつ・どのように流出したかははっきりしない点が、さらに神秘性を高めている。専門的な鑑定機関へ提出された際には、通常のカメックスのイラスト面と同じデザインながら裏面が無地のエラーカードとして認定されるケースがあり、海外オークションでは4,000万円前後（日本円換算）の取引が確認されたという報道が一部で取り上げられたこともある。

カメックスというポケモンは、初代『ポケットモンスター』から登場していることもあり、リザードンやフシギバナなどと並んで非常に知名度が高い。こうした定番ポケモンの人気と、もともとのテスト印刷品ゆえの希少性が相まって、投資や収集の対象としてさらなる注目を集めているカードである。

表面のイラストは通常版カメックスとほぼ変わらないが、“裏面の印刷が一切ない”という唯一無二の状態から、「バックレスカメックス」は世界的なコレクター間でも名前が挙がる。一般的なパック封入のカードとは全く異なる経緯を持っているため、流通数や入手経路の情報が乏しく、「世界に数枚しか存在しない」とのうわさも都市伝説のように囁かれている。その実態を裏付ける公式文献は存在しないが、その謎めいたポイントこそが本カードをさらなる高みへ押し上げているとも言えるだろう。

また、一般的にポケモンカードの高額取引は、初版や限定配布プロモなどに多く見られる。ところが「バックレスカメックス」は、いわば想定外のルートで生まれたテスト印刷カードであり、厳密には「限定配布物」ですらない。ある種のエラー品ともいえるレアリティや数百〜数千万円単位の取引価格が合わさり、最上級のコレクターズアイテムとして認知されている。

40,000,000円程度の取引報道もあるため、業界全体を見渡してもトップクラスの金額と言わざるを得ない。オールイラストのカメックスらしい青いカラーリングと裏面真っ白という奇妙なコントラストが、その魅力をより強烈にしているのである。

総評

「バックレスカメックス」は、ポケモンカードの歴史の中でも異例とも言えるテスト印刷由来のエラーカードである。通常のパック封入物ではなく、公的な配布も確認されていないため、その存在自体が謎めいている。いくつかの海外オークションで目撃された際の大台4,000万円前後という取引額は、ポケモンカードの枠を超えた希少なコレクターズアイテムとしての価値を物語っている。今後も状態の良い個体が発見されれば、さらなる価格上昇が期待される驚異的な一枚と言えよう。