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Mox Sapphire(LEB)

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カテゴリ

card > TCG > MTG

Level

取引価格目安

2,000,000円

所有者

不明

アイテム説明

Mox Sapphire(LEB)とは

マジック:ザ・ギャザリング黎明期である1993年に登場したベータ版(通称LEB)に収録されたカードである。カード名の通り、サファイアの宝玉を模したアーティファクトとしてデザインされており、マナコスト0で戦場に出し、タップするだけで青マナを1点生み出すことができる。当時のプレイヤーたちに衝撃を与えた、いわゆる「パワー9」と呼ばれる9枚の最強カード群の一角を担っている。

ベータ版は、アルファ版の印刷数不足を受けて追加生産されたバージョンではあるが、それでも初期生産の少なさから非常に流通量が限られていた。さらに今ほどのカードゲーム市場が確立されていない時代に販売されたこともあり、現存する美品の確保が極めて困難になっている。Mox Sapphireはその中でも人気が高く、コレクターや投資家の間でプレイ用だけでなく宝石のように扱われる存在となっている。

ゲーム上の効果については、コスト0という点が突き抜けて強力であり、ゲーム開始直後から追加のマナを生み出せる点が戦略面でものすごいアドバンテージをもたらす。その利便性ゆえヴィンテージ環境では制限カードとして扱われ、1枚しかデッキに入れられない特別な扱いを受けるほどである。一方、レガシーやコマンダーなど多くのフォーマットでは禁止カードとなり、その存在の危険さを物語っている。

歴史的背景について触れると、マジック:ザ・ギャザリング初期における「宝石を模したアーティファクト」デザインの一つとして、同様の効果を持つMox Emerald(緑)、Mox Jet(黒)、Mox Pearl(白)、Mox Ruby(赤)が同時に存在していた。これら5枚総称して「Moxen(モックス)」とも呼ばれ、それぞれの色のマナを生み出す。その中でもMox Sapphireは青マナを供給するため、一部の強力な青呪文との相性が際立つとされる。その設計思想は「強すぎるカードを容赦なく投入することで、多様性のあるゲームを実現させる」という初期のマジックを象徴するものであったが、その後のバランス調整を経て「パワー9」は軒並み特殊扱いになった。

また、ベータ付近のカードは印刷技術が安定していなかったこともあり、数百万円を超えるような価格帯でも多少の印刷ムラや傷は珍しくない。レアリティは「レア」だが、当時は完全な推定レアリティであり、現代のような神話レア枠は存在しなかった。そのため極初期のコレクション市場が育たぬまま年月が経過し、残存数がさらに減ったことが、現在の超高額化に拍車をかけている。

コレクター視点では、ベータ版のMox Sapphireはアルファ版ほどの枠の太さや角の丸みはないものの、カード枠が黒く締まった印象になっている点や、イラストの鮮やかさに魅力を感じるファンが多い。そして、こうした希少性と歴史的背景を含めて、単なるカードゲーム用品を超えたアートピースとしても評価されている。

ゲーム内での圧倒的な性能と初期プロモーションの少なさから、「パワー9」は現代でも高額・高人気を誇る。Mox Sapphireはその代表格ともいえる存在だ。特に青はドロー呪文が充実している色であり、圧倒的リソースを生み出す中心的役割を担っている。

総評

Mox Sapphire(LEB)は、マジック:ザ・ギャザリングの歴史を語る上で欠かせない一枚である。パワー9の一員としてゲームバランスを揺るがし、コレクター市場では圧倒的なプレミアム価格をつけられてきた。ベータ版の希少性と相まって、投資対象・アートピース・象徴的カードという多面的な価値を持つ。現在もなお、その輝きは色褪せることなく、ゲーム史に対する深い意義を示し続けている。