TURNER DOOMSDAY VIDEO

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所有者
CNN
アイテム説明
ターナー・ドゥームズデイ・ビデオ(Turner Doomsday Video)は、1980年頃にCNNの創設者テッド・ターナーの発案により制作された、“世界の終わり”に流すことを想定した非常用映像である。通常は決して公開されない内部用の映像として知られている。
実際にはCNNが開局する前から準備されていたものであり、地球の終末や深刻な危機が訪れ、生放送を続けられない事態になった際に最後の放送として流す予定であったと言われている。映像はアメリカ軍の複数の軍楽隊がキリスト教の賛美歌「Nearer, My God, To Thee」を演奏するシンプルな内容であり、画質も画面比率も当時の標準的な4:3・SD解像度である。テッド・ターナーは「もし世界が本当に終わる際には、CNNが文字通り最後の瞬間まで放送を続ける」と宣言しており、このビデオはその決意の象徴として制作されたとされている。
このビデオの存在自体は、CNN開局当初から断片的に噂されていたが、実際に一般に知られるようになったのは2015年頃からである。元インターンがCNNのアーカイブシステムから原本を入手し、その映像がインターネット上にリークされたことで話題を呼んだ。噂だけが先行していた時期も長かったが、こうして実物を確認できたことはメディア史において非常に貴重な逸話となっている。
いわゆる「終末放送」が想定された例としては世界的にも珍しく、CNNの知名度やテッド・ターナーの大胆な発想も相まって、アメリカのテレビ史のみならず世界の放送メディア史でも異色の存在感を放つ。実際、他局も含めて明確に「世界の終わり用の映像」を用意している例はほとんどなく、これほど公然と語られたケースは極めて少ないと考えられる。
この映像は、わずか1分ほどの短いものでありながら、すでにメディア神話の一部になっている。映像の中では米軍のバンドがしめやかな演奏を続けており、視聴者に対して「地球最後の日」にCNNが鳴らすレクイエムであるという象徴的な意味合いを持つ。テッド・ターナーの理念と相まって、「バリヤ衛星の不具合でもない限り、世界が滅びるその時まで放送を続ける」という宣言は強いメッセージ性を帯び、テレビ放送の使命感やロマンを語る上でもしばしば言及される。
今日、このビデオの実態はインターネットの普及によって世界中の好事家たちに広まり、その希少性と背景のドラマ性から強い関心を集めている。CNNの内部アーカイブには「Turner Doomsday Video」として保管されているが、実際に放映される状況が訪れないよう願うという意味でも、半ば都市伝説的なステータスを獲得しているともいえる。
また、このビデオが人類史における「もし最終的な番組を放映することになったらどうなるのか」という問いに対する一つの回答として評価される一方、実際には使われてはいけない映像でもある。使われたときには、既に世界が壊滅的な状態に瀕しているか、実質的に終末を迎えているわけで、その意味でも“本当に放送されてほしくない究極のテープ”として語り継がれている点が、他のメディア史料とは異なる大きな特徴と言えよう。
総評
「ターナー・ドゥームズデイ・ビデオ」は、テレビ放送が果たす使命感を象徴するかのような幻想的かつ不気味なアイテムである。メディア史の中でも特殊例として記憶され、人類の終末観やメディアの役割を考えるうえで絶妙なインパクトを放つ存在と言える。実物はごく限られた関係者以外には視聴が難しく、リーク映像だけが広まっていることも、その神秘性を際立たせている。この珍品は、実際の放送に使われる日が決して来ないことを祈りつつ、今後もメディアや歴史ファンの間で語り継がれていくだろう。