日本国尊厳維持局 「政府有事宣言時フィルム」

このフィルムは、日本が戦争や大規模侵略などの“最重篤的絶望事態”に陥った際に、政府主導で全国に放送されるとされているフェイク映像である。アメリカ版ともいえるlocal 58のContingencyの影響が色濃い。1960年代初頭に設立されたとされる「日本国尊厳維持局」という社団法人が制作し、2016年頃にインターネット上に複数の断片映像が流出し、突如として話題になったという設定である。

このフィルムは複数のバージョンが存在するとされ、いずれも暗い夕陽や「蛍の光」などの印象的な楽曲を背景に、自国民へ自決を促すショッキングなメッセージが映し出される点が特徴である。映像の内容は「日本国は絶望的な交渉状況に陥っており、領土や家族を守りきれない」という前提のもと、“敵対勢力に魂を汚される前に静かに死を選択する”よう国民へ呼びかける。具体的には強力なバルビツール酸系睡眠剤の使用方法が解説され、迅速かつ苦痛なく死に至る手段が紹介される部分も確認されている。

制作年代には諸説あり、1961年設立とされる日本国尊厳維持局が実験的に撮影したのが最初とも言われる。また映像の終わりには「1972年3月までに廃棄される予定」との文言が挿入されているケースもあり、真偽不明のまま噂だけが先行している状態にある。近年では、これらのフィルムがそもそもフェイク映像ではないかという見解も強く、いわゆる“アナログホラー”や“検索してはいけないワード”の一種として扱われることが多い。しかし完成度の高さから、一部のホラー愛好家や都市伝説のファン層の間では大きな人気を博している。

このフィルムの魅力は、黎明期の映像メディアの技法を用いている点にもある。“最悪の時にのみ放映される公式映像”という不吉かつ謎めいた背景が価値を生み出している。フェイク映像ゆえに、実際に政府が使用することはないが、その暗示的な衝撃度と考察の余地ゆえに、一部のネットユーザーの興味の対象となっている。

公開された映像のクオリティや時代背景との整合性から“本物ではないか”という擁護論も尽きない。

総評

日本国尊厳維持局の「政府有事宣言時フィルム」は、実在を含め数々の謎を孕んだ存在である。歴史的価値というよりは、その不気味な雰囲気と徹底したテーマ性が注目を集める最大の要因となっている。その衝撃的内容から一部のコミュニティを大いに騒がせた作品である。なお、Youtubeなどで誰でも視聴可能であることを考慮し、Relicレベルは1となっている。