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鵺の手

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カテゴリ

cursed > 呪物一般 > 不明

Level

取引価格目安

不明

所有者

田中俊行

アイテム説明

鵺の手の由来

平安時代末期の『平家物語』にも登場する妖怪「鵺(ぬえ)」の伝承は、長きにわたり怪異や呪術の象徴として語られてきたとされている。鵺は「猿の顔、狸の胴体、蛇の尾、虎の手足を持つ」として描かれ、その正体は諸説あるが、一種の混成獣として多くの物語や伝説に登場してきた。呪物コレクター田中俊行氏保有のこの「鵺の手のミイラ」は、同氏曰く京都市内の名家の屋敷から発見されたものである。屋敷が解体される際、祀られたように安置されていたという経緯があり、鵺を実際に信仰した一族が保管していたとも推測されている。

乾燥が進み、わずか10センチほどの大きさながら、硬化した皮膚や爪がはっきりと残っている様子が確認できる。箱の蓋には「鵺之仔之手」と墨書きがあり、かつて「鵺の仔」を捕獲した証や、呪術目的の依代として保管されていた可能性が高いと言われている。さらに、外装の箱には密かに仕込まれた空洞があり、中から「KSさん予約」とボールペンで書かれた紙切れが発見されたという。この紙切れの意図は不明だが、呪いの依頼を示唆するような文面ともとれるため、近年まで実際に呪術に用いられていたとの説も存在する。

こうした鵺伝承と呪術との結び付きは、京都ならではの怪異伝承の深さを示している。京都には宮中を悩ませた鵺伝説の逸話が残されており、当時は天皇の体調不良との関連まで囁かれるほど恐れられた。まさにこの手のミイラが見つかったこと自体、偶然ではなく何らかの因縁によるものと見る向きもある。むやみに触れたり、写真を撮ったりすると奇妙な現象に遭遇する、という噂が骨董品店の間で広まった背景も、こうした信仰的な側面が絡んでいるのだと思われる。

箱やミイラ本体の周囲には火やろうそくの痕跡があり、祭壇のような場所で蝋燭を灯しながら長く祀られていた形跡が確認されている。鵺は一般に恐るべき妖怪として語られるが、一族があえて手のミイラを残していた事情は謎が多い。病気平癒や魔除けといった反転的な神聖視の可能性も考えられ、現代の視点からは簡単に断言できない複雑な歴史の香りが漂っている。

総評

「鵺の手のミイラ」は、日本の怪異伝承の一端と呪術的背景を体現した特異な遺物である。京都の名家に代々引き継がれ、祀られてきたという点は、単なる奇奇怪怪な見世物以上の信仰的な奉納品だったことを示唆している。爪や組織がそのまま残る独特の風合いは、ただの造形物ではない本物の小動物の手なのか、あるいは意図的に作られた精巧な呪物なのか、その真相はいまだ定かでない。オカルトコレクターの間では極めて注目度が高く、実際に怪談や噂を伴いながら人々の興味をかき立ててきた。「鵺の手のミイラ」は、平安時代の伝承から近世・近代に至るまで途絶えず受け継がれた信仰や呪術文化の深さを再認識させる「禁断の品」と言えるだろう。