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空の境界(同人誌) 1998年

空の境界(同人誌) 1998年 メイン画像 1

カテゴリ

book > 同人誌 > 奈須きのこ

Level

取引価格目安

5,000,000円

所有者

ハチ

アイテム説明

概要

奈須きのこがまだ「竹箒」という同人サークルで活動していた1998年に頒布された、通称「同人版・空の境界」である。わずか10部から20部程度しか印刷されなかったとも言われ、そのうち実際に販売されたのが6部程度という非常に少ない流通量で知られている。同人誌といっても内容は小説本であり、後に商業出版やアニメ映画化によって広く名が知られることになった『空の境界』の最初期形態にあたるのが本作である。武内崇が表紙や挿絵を手がけ、本文テキストを奈須きのこが書き上げたことで、のちに「TYPE-MOON」へと発展していく原点と言われている。

当時はコミティアなどの同人イベントで500円ほどで頒布されていたという逸話もあるが、限られた部数しか存在せず、また「竹箒」自体がまだ注目度の低い小規模サークルだったことから、ほぼ幻のアイテムと化した。そのため今日では、中古市場やオークションに滅多に出回らないばかりか、数百万単位の落札額がつくケースも珍しくない。2025年2月のネットオークションでは最終的におよそ500万円近い値段がつき、多くのファンやコレクターを驚かせた経緯がある。

この同人版は、後年に商業単行本として刊行された『空の境界』とは細かな表現や章構成も異なり、“原型”に近い未修正の文面が多数含まれていると言われている。また、表紙をはじめとした武内崇の初期イラストも見どころである。現在では修正や加筆が施された商業版がスタンダードな『空の境界』として広まっているが、あくまで最初期の手づくり感溢れるコピー本として、この同人誌には別格の希少価値が認められている。

さらに、本作がTYPE-MOONの始祖的存在として語られるのには理由がある。『空の境界』のヒットを受けて、奈須きのこと武内崇はTYPE-MOONを立ち上げ、後に『月姫』『Fate』シリーズなどの大きな商業展開へと連なっていくことになる。つまり、本アイテムは「TYPE-MOON作品のはじまりを示す最重要同人誌」として、多くのファンから“聖遺物”にも例えられるほどの熱狂的な評価を受けているのである。

なお、状態の良いまま現存している個体はきわめて稀であり、今回知られている画像などでもホチキスのサビや汚れが最小限に抑えられている点が注目されている。長期間にわたって丁寧に保管されたのだろうと推測され、当時物の雰囲気が色濃く残ったままの姿は、コレクターズアイテムとしての魅力をさらに引き立てていると言える。

総評

本書は現在でも“幻”とされる初版コピー本であり、『空の境界』そしてTYPE-MOONの歴史を体現するような特別なアイテムである。コレクター市場で極めて高額な落札例を記録しており、単なる書籍の枠を超えて、一種の“文化的・歴史的価値”を帯びているといっても過言ではない。同人誌としてはもちろん、後の国民的コンテンツへと成長していく作品の源流を直接的に感じられる美術品的・資料的存在であり、まさに幻の一冊と言われるにふさわしい稀少性を誇っている。