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クマントーン

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カテゴリ

cursed > 呪物一般 > 不明

Level

取引価格目安

10,000円

所有者

不特定多数

アイテム説明

クマントーンとは、タイに古くから伝わる童子像の呪物である。もともとは死んだ赤子や胎児の遺灰などを材料に作られたと言われており、「命を全うできなかった子どもの霊」が人間を守護する存在として崇められてきた歴史を持つ。近年では寺院や呪術師が素材をアレンジし、レジンや樹脂を用いた大量生産品も流通しているが、本来のクマントーンは極めて禁忌的な手段で生み出されていたため、古来から闇市場での取引や逮捕事例なども後を絶たないとされている。

クマントーンの原型は、古くは水子をミイラ状に加工した「ルーククローク」と呼ばれるものであった。呪術師が赤子の亡骸を金粉で覆い燻したという伝説も残っており、こうした残酷な製法ゆえにタブー視される一方、霊験あらたかな存在として希少価値が高まっていった背景がある。信仰の盛んなタイでは、クマントーンを祀ると家や商売が繁盛する、危険から身を守ってくれるなどの言い伝えがあり、結果的に国内外のコレクターがこぞって収集する呪物となった。

クマントーンには多様なバリエーションが存在する。瞑想姿で穏やかな面持ちのものから、あばらが露わになり骸骨に近い姿のもの、あるいは二体が融合している双子タイプなど、製作した呪術師の流儀や魔術的意図によって形状・表情がまるで異なる。大きさも掌サイズから子どもほどの大きさまで幅広く、胎児のミイラから直接作られたと噂される逸品は闇市で高額取引される傾向にある。

一方で、招福雑貨としての「クマントーン」は比較的安価に入手でき、僧侶や寺院が「正当な供養」を施した上で授与しているケースも多いとされる。そのため、近年ではタイのお守りマーケットやオンラインショップなどでも手軽に見かけるようになった。しかし、安易に購入してしまうとクマントーンの供養が疎かになったり、霊が正しく安置されないことで「禍をもたらすのではないか」という不安も一部で根強い。実際に、菓子や赤い飲料などを供え続けなかったことで怪現象が起きたという体験談も語られており、祀り方によっては信奉者を翻弄する一面も持ち合わせていると言える。

さらに、クマントーンはもともと戦闘や呪詛を目的とする黒魔術の道具だった、とする解釈も存在する。中には「殺し屋クマントーン」と呼ばれ、敵対者に危害を加えるために作られた種類もあったとされる。そうした攻撃的な性質は現在では稀かもしれないが、タイの研究者や呪物コレクターの間では「もともと恐ろしげな性格の存在であり、手招きのポーズが不運を呼び寄せる意味を持つ形状もある」との指摘がある。単なる縁起物とは異なる、奥深く危険な歴史を宿したアイテムなのである。

実際にコレクターたちもクマントーンをむやみに扱うことはせず、専用の祭壇を用意したり、定期的にお菓子をお供えしたりして、子どもの霊が寂しくないように声をかけるなどの気遣いを欠かさないと言う。いかに呪物とはいえ、「供養を通じて逆に霊を救う」という発想が、信心深いタイの人々の間で息づいている点も興味深い。

総評

クマントーンは、タイ特有の霊文化が生んだ稀有な童子像である。辛酸な歴史を背景にした「闇」の側面を持ちつつも、一方では人々の願いを叶える霊験あらたかな守護存在ともされる。違法性を帯びた製法から由来するオリジナルの存在は極めて入手困難で、収集家が高額で取引する市場を生んできた。現在では安価な雑貨として市井に出回るが、その根底には複雑な宗教観と精霊信仰が脈々と息づいている。クマントーンをどう扱うかは自由だが、その背景にある死者への畏敬と供養の精神を理解することが、この呪物の正しい接し方であると言える。