突撃一番

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取引価格目安
10,000円
所有者
不明
アイテム説明
概要
突撃一番とは、旧大日本帝国陸軍で使用されていたコンドームの名称である。紙袋には星印とともに「突撃一番」と印刷され、性病予防の観点から若年兵士に対して衛生兵が必ず配布していたものである。当時、性病と並んで脚気や肺結核が軍内部で特に警戒されていたため、突撃一番の使用は厳しく義務づけられていた。性行為の際は、このコンドームと併せて性病予防薬「星秘膏(ほしひこう)」を使用することが定められていたとされる。性病に感染すると行為自体よりも予防措置を怠った点を厳しく咎められたほどであり、軍は兵士の健康管理に相当な配慮を示していたことがうかがえる。
また、海軍では「鉄兜(てつかぶと)」あるいは「ゴムかぶと」などと呼ばれ、上陸前に希望者に対して無料で配られていたと伝わっている。陸軍・海軍の呼称こそ異なるが、いずれも性病予防の必需品として、若い兵士たちの間で半ば強制的に使用されていた。特筆すべきは、著述家の冨澤有爲男が乗艦していた輸送船の沈没事故の際、記念品の時計を濡らさぬよう突撃一番を防水袋として利用したという逸話である。コンドームは本来の用途以外にも、戦地においてさまざまな応用的な使われ方をしていたことがわかる。
呼称の由来についてははっきりした史料が多く残されていないが、「突撃」という勇猛なイメージと軍歌にも通じる表現が相まって、兵士たちの間で印象に残りやすかったと考えられる。また、山本七平によると、衛生下士官が「突撃一番と軍人勅諭は必ず女で終わるんだ」という冗談を口にしたという逸話が残されており、兵士たちの間で突撃一番が一種の俗語的な話題となっていた様子もうかがえる。
現在では、突撃一番は戦時中の衛生管理や性文化を示す貴重な史料として扱われている。一部の軍事史研究家やコレクターからは高い興味が寄せられており、実物の紙袋や未使用の品が残されている場合には、オークションなどで取引されることもある。ただし、現存数が非常に少ないため、市場に出回る機会は極めて限られていると言われている。
総評
突撃一番は、旧日本軍の性病対策において非常に重要な役割を果たしたコンドームである。その呼称やエピソードから当時の軍内部の風習がうかがえ、兵士が生身の戦場だけでなく、性行為においてもリスクと隣り合わせだった状況を物語っている。現存数が少なくコレクターズアイテムとしての価値も高いため、軍事史を知るうえで興味深い資料となっている。