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あたしはもうお嫁にはいけません

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art > 絵画 > 立島夕子

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アイテム説明

作品概要

「あたしはもうお嫁にはいけません」は、日本の画家・人形作家である立島夕子が1999年に制作した大型の人物画である。高さ約180cm、幅約90cmに及ぶキャンバス全面には、首が異常に伸びた女性が不気味な表情を浮かべて佇む姿が描かれている。この女性の表情には怒り、絶望、恐怖といった感情が色濃く込められており、そのインパクトの強さから、インターネット上では“検索してはいけない言葉”の一つとして取り沙汰されるようになった経緯を持つ作品である。

背景と希少性

本作を描くに至った直接の契機は、作者自身が若い頃に受けたストーカー行為や強姦未遂被害のトラウマであると伝えられている。作者いわく、作品内の女性像は性的暴力に対する反逆のメッセージを込めた“決死の怒りの表現”であり、その強烈な負の感情が生々しく描かれている点で他の絵画にはない独特の迫力を帯びている。この絵は一枚しか存在しない一点物であり、インターネット上に出回る画像は撮影された断片や転載に過ぎない。そのため原画を直接見る機会は極めて限られており、作者が個展などで展示を行わない限り、生の筆致を鑑賞できる可能性はほぼないと考えられている。

本作が有する希少性は、単に流通数の少なさだけが理由ではない。インターネットを通じて拡散された怪談めいた噂や“検索してはいけない”という反響が大きな話題を呼び、実際の絵の内容よりも先に数多くの都市伝説が広まっていった結果、「見る人に強烈なトラウマを与える」などと過剰なイメージを伴って知られるようになった側面もある。こうした“噂”による人気の先行と、実際の芸術性やメッセージ性が渾然一体となって作品の価値を高めている点が、もう一つの稀有な要素と言える。

歴史的経緯と背景ストーリー

制作者の立島夕子は1974年生まれの日本人アーティストで、絵画だけでなく人形制作やパフォーマンスアートなど多岐にわたる創作活動を行っている。「あたしはもうお嫁にはいけません」が制作された1999年当時、作者は身近に付きまとう男性からの執拗な迷惑行為と、過去の性暴力被害が重なる形で精神的な極限状態にあったとされる。その経験が昇華され、この作品には女性の内面に潜む痛切な怒りと恐怖、そして強い抵抗の意志が克明に描かれている。

作品そのものは長らくネット上で歪んだ噂と共に一人歩きしてきたが、作者本人による公式コメントが世に出回ったことで実態が明らかになり、単なるホラー画像ではなく、性犯罪への強烈なアンチテーゼであることが知られるようになった。ある種の“都市伝説”と化した本作が、現在でも多くの人を惹きつけるのは、その背後に傷ついた人間の叫びがあるからかもしれない。

総評

「あたしはもうお嫁にはいけません」は、単なる“恐怖を感じる絵”という誤解を超えて、作者の個人的な体験から生まれた強力なメッセージアートである。この絵に向かい合うことで、ネット上で語られてきた怪談やイメージの裏側にある、生々しい人間ドラマを知ることができる。オークションなどで市場に出ることは極めて稀だが、その希少性と、美術史的にも特異な立ち位置を得た背景を踏まえれば、コレクターやアート好きの間では高い需要があるだろう。女性の苦悩と抗議、あるいは見る者に畏怖を抱かせる狂気の表情。そのすべてが詰まった本作は、日本現代アートの一角を象徴する存在とも言える。