姑獲鳥
カテゴリ
cursed > 呪物一般 > 不明
Level
取引価格目安
不明
所有者
相蘇敬介
アイテム説明
概要
相蘇敬介が制作した「姑獲鳥」は、2016年頃に東京のヴァニラ画廊で展示された立体造形作品である。その名のとおり、日本の妖怪伝承に登場する「姑獲鳥(うぶめ)」をモチーフとしており、人体に似た頭部と鳥のような細い脚部、不気味に大きな目と口が特徴的である。皮膚の質感や肉付き、抜け落ちた髪の毛を思わせるパーツなどがリアルに再現され、見る者の原始的な恐怖心を刺激するといわれている。
作品はもともと相蘇敬介自身の妖怪やオカルトへの造詣から生まれたものであり、生と死や出産などの概念が複雑に交錯する日本の民間伝承を立体芸術として具現化したとされる。また、相蘇が所属する特殊造形の分野では人体表現の技術を駆使し、ゴムや樹脂など様々な素材を用いて生々しい質感を追求することが多く、本作もその技術がふんだんに生かされた例である。
背景と歴史
この作品は、制作者の意図を超えて世界的な注目を集めた。2018年頃に欧米を中心に拡散した「Momoチャレンジ」というデマ的なインターネット都市伝説に、この造形作品の写真がアイコン画像として無断使用され、いたずらに恐怖を煽る要素として取り上げられてしまった経緯がある。海外メディアで報道された結果、「人を自殺に誘導する謎のキャラクター」として一人歩きし、国際的な話題に発展してしまった。
本来はあくまで芸術作品にすぎなかった「姑獲鳥」であるが、「Momoチャレンジ」報道の影響により多くの問い合わせが相蘇敬介に殺到し、制作者本人が無関係であるにもかかわらず誹謗中傷を受けるなど、負の側面も顕在化した。さらに作品自体は天然ゴムと植物油を素材としていたため、時間の経過とともに劣化が進み、最終的には廃棄されたとされている。しかし一部のパーツ(特に目玉の一つ)だけは現存し、将来の新作へ再利用する構想もあるという。
希少性と価値
「姑獲鳥」はすでに原本が存在しない点で極めて希少性が高い。インターネット上で世界的に話題となった逸話も相まって、その知名度と注目度は非常に大きなものがある。いわゆる歴史的工芸品ではないが、現代のポップカルチャーやホラー分野において象徴的な作品になったともいえ、専門コレクターやオカルト系アートの愛好者からは“幻の一品”として扱われることもある。
この作品にはいわくめいた背景が付随する。妖怪「姑獲鳥」を題材にしていることはもちろん、「Momoチャレンジ」に悪用され多くのトラブルを引き起こした材料とされたという負の歴史が、多面的な価値や興味をもたらしている。実物が消滅しているため市場に出回ることはなく、そのアーティスト性や物語性が今後さらに評価される可能性があると考えられている。
総評
「姑獲鳥 相蘇敬介」は、近年のインターネット上で非常に大きな話題を呼んだアート作品である。妖怪伝承に基づく独特の造形美や、素材の生々しい質感によって見る者に強烈なインパクトを与えると同時に、不運にも世界的なデマとして拡大した「Momoチャレンジ」に関わる象徴的存在にもなった。実物は既に廃棄されているが、残された目玉パーツや作者の構想により、別の形で蘇る可能性も否定できない。いずれにしても、本作は現代の妖怪アート史において一際異彩を放つ存在として記憶されていくだろう。