RelicDB

特殊疲労回復飲料(東亜糧品研究所)

特殊疲労回復飲料(東亜糧品研究所) メイン画像 1

カテゴリ

other > 不明 > 不明

Level

取引価格目安

58,000円

所有者

書肆ゲンシシャほか

アイテム説明

概要

第二次世界大戦中に東亜糧品研究所が開発したとされる「特殊疲労回復飲料」である。大日本帝国海軍のパイロットらが帰還直後に飲用し、肉体的・精神的な疲労、さらに貧血などまで改善できる効用があったと伝えられている。栄養補給および滋養強壮を目的とした機能性飲料の一種で、当時は航空隊のみならず一部の関係者にも供給されたという説もある。

歴史的背景

第二次世界大戦期、激しい航空戦に対応するため、各国ではパイロットのコンディション維持や回復を目的とした栄養補給手段が模索されていた。日本海軍においては、とりわけ長時間の飛行任務を遂行する操縦士の疲労軽減は急務であったとされる。そこで東亜糧品研究所は、短時間でエネルギーおよび栄養素を補給し、戦闘ストレスや極度の疲弊状態からの自然治癒力を高めるため、本飲料の研究と製造を行った。

この飲料の処方には、糖質やビタミン類、あるいは当時貴重とされた漢方系の成分なども含まれていたと推測される。さらに一部の資料によれば、ごく微量ではあるが覚醒を誘発する要素があった可能性が示唆され、過剰摂取への注意が促されたという記録も残っている。こうした飲料は軍部からの機密扱いを受ける場合も多く、戦後に多くが廃棄・散逸したともいわれており、現在まで実物がほとんど残っていない点からも極めて貴重な遺品になっている。

現在の評価

本飲料の現存数はごく少なく、国内の骨董市やミリタリー系コレクターの間で、高額取引の対象となることが多い。特に未開封またはラベルが比較的良好な状態で残っている例はきわめて少なく、その希少性と歴史的な背景から、軍事史研究家や第二次世界大戦期の遺品収集家にとっては重要な研究資料にもなっている。実際、近年のオークションでも数万円から場合によっては10万円を超える価格で落札される例も報告されている。

この飲料のラベルには「特殊疲労回復飲料」「東亜糧品研究所」などの表記があり、貯蔵期限や製造年が昭和十年台後半~終戦前後のものである旨が確認されることもある。飲用自体は現在では推奨できないが、当時の軍事技術と食糧研究の一端を物語る希少な証左といえるだろう。

総評

「特殊疲労回復飲料(東亜糧品研究所)」は、戦時下という特殊な状況の中で、パイロットや軍関係者が肉体的・精神的限界に挑みながらも活動を継続するために生まれた歴史的アイテムである。その配合や成分の詳細は今なお不明な点が多いが、戦時下の軍事医学・栄養学レベルを知るうえで、貴重な資料としても評価されている。今日では現存数が非常に少ないため、軍事史・文化史的な価値も高く、コレクター市場においても注目度は年々高まりつつある品といえる。なお、当時の過酷な任務の実態と、それに伴う健康管理の困難さをうかがい知る歴史的遺物としても大きな意味を持っている。