RelicDB

Final Exit: The Practicalities of Self-Deliverance and Assisted Suicide for the Dying

Final Exit: The Practicalities of Self-Deliverance and Assisted Suicide for the Dying メイン画像 1

カテゴリ

book > その他 > デレク・ハンフリー

Level

取引価格目安

3,000円

所有者

不明

アイテム説明

概要

『Final Exit: The Practicalities of Self-Deliverance and Assisted Suicide for the Dying』は、ジャーナリストであり安楽死運動の提唱者でもあるデレク・ハンフリーによって1991年に初版が出版された書籍である。末期疾患の患者など、死に直面する人々に対して自らの人生を自らの意思で終えるための具体的手段や、法的・倫理的な問題点を中心に解説していることで知られている。一方で、本書が扱うテーマは各国や地域での法的規制や倫理的な議論と密接に結びついており、発売以来、大きな社会的論争を引き起こしてきた。

本書の内容は、主に末期の患者が選択しうる「自死」と「自死を支援する行為」に関する実践的な解説を中心に展開される。具体的には、生命維持装置の中止や医師による補助的措置の是非、あるいは本人が自分の意思で服用するバルビツール酸系薬剤などの入手や使用法を、あくまで実例と医療現場の声を踏まえながら示唆している点が特徴的である。ただし、このような内容は「自死の技法」を直接的に示唆するものであるため、フランスなどいくつかの国では所持・流通が規制される事態となった。さらに、本書は実際に裁判や法改正の論議において言及され、医師や看護師、法曹関係者をも巻き込んだ安楽死や尊厳死をめぐる議論を深める一助にもなったと言われている。

本書では「リビング・ウィル(Living Will)」だけでは患者本人の意思を十分に反映できない場合があることを指摘し、「医療行為における代理権を委任する書類」の作成を推奨するなど、法的に認められた範囲内で本人の希望を最大限尊重する方法についても解説している。また、患者が自ら死期を選ぶ行為やそこに至るまでのケアについて、家族や主治医、友人といった第三者とのコミュニケーションがいかに重要であるかを強調する構成も特徴的である。さらに、薬剤の入手手段やその服用量などを詳述している一方で、そうした行為が抱えるリスクと倫理面での問題点についても注意を促している。

出版当初、アメリカでは大きな反響を呼び、ニューヨーク・タイムズのベストセラー・リストで1位を獲得した実績を持つ。その一方で、「自死の手引書」とみなされることもあり、精神的に不安定な人や若年層に及ぼす影響などを危ぶむ批判も強い。しかしながら、本書はあくまで末期状態にある人々が尊厳をもって人生の最終段階を迎えるための選択肢を論じたものであるとして、多くの読者や医療関係者に議論の火種を提供し続けている。

こうした論争にもかかわらず、書籍自体は英語圏を中心に増刷や改訂を重ね、書籍版・電子版・オーディオブック版など多様な形態で流通している。のちに著者は「Good Life, Good Death」などの関連書籍も発表し、患者の自律性や医師の役割を問い直す姿勢を貫いてきた。結果として『Final Exit』は、安楽死・尊厳死をめぐる世界的議論において一定の歴史的意義をもつ書籍となっている。

総評

『Final Exit』は、死を迎えようとしている人々に向けて多角的な情報を提供する一冊である。構成上は理論や法律面だけでなく、具体的な手段にわたるまで言及しているため、その扱うテーマは極めてセンシティブかつ議論の余地が多い。しかし、まさにタブー視されがちな領域を掘り下げたからこそ、苦痛の緩和や延命の是非を含め、読者に深い思索をうながす契機にもなっている。今なお世界各国で肯定・否定の両論が絶えないが、生命倫理の課題を考察する上で避けては通れない重要な文献と評価されている。 なお、一般ルートでの入手も可能であるため、Relicレベルは1になっている。