アイスマン(エッツィ)

カテゴリ
cursed > 呪物一般 > 不明
Level
取引価格目安
不明
所有者
不明
アイテム説明
概要
約5300年前の新石器時代に生きていたとされる男性ミイラである。1991年にアルプス山脈のイタリア・オーストリア国境付近の氷河から偶然発見され、「エッツィ」「エッツィ・ジ・アイスマン」「ハウスラプヨッホの男」等の愛称でも知られている。身長はおよそ160センチメートル、体重は約50キログラムと推定されており、死亡時の年齢は40代半ばと考えられている。背中に残された矢尻の傷や頭部の損傷から、追われる身であった可能性が高く、戦闘や争いに巻き込まれた末に殺害されたという説が有力である。
さらに、身体には60以上の入れ墨が確認されており、これは当時の治療行為(鍼治療のようなもの)や儀式的な目的に用いられていたと推測されている。また、胃の内容物からは乾燥肉やヒトツブコムギが検出され、死の直前にしっかりと食事をしていた痕跡が確認されたことが大きな話題となった。血液型はO型で、乳糖不耐症の因子や動脈硬化を起こしやすい遺伝的素質をもつことなどもDNA解析によって判明している。
アイスマンが暮らした地域は、現在の北イタリア側のアルプス付近と推定される。所持していた弓矢や銅製の斧、革製の衣類などは、当時の製作技術・生活様式を伝える貴重な手がかりとなっている。特に純度99.7%の銅製斧は、この地域で高度な金属精錬技術が存在していたことを示す重要な遺物である。標高3210メートル付近で死亡したと考えられるアイスマンの遺体は自然条件が重なり、氷河下からほぼ完全な姿で発見された。こうした良好な保存状態のミイラは非常に少なく、欧州最古の自然ミイラとして世界中から注目を集めている。
現在はイタリアのボルツァーノにある南チロル考古学博物館で管理・展示され、多くの研究者と来館者が訪れる研究・観光の拠点となっている。生命や死因、当時の暮らしぶりなどを探る貴重な資料とされ、新たな科学技術の進展にともない、今後もさらなる発見が期待されている。
総評
アイスマン(エッツィ)は、5000年以上前のヨーロッパの生活や技術を伝えるだけでなく、その遭難や殺害の経緯など謎めいた背景から多様な研究の対象となっている。極めて良好な保存状態であるため、衣服や遺伝情報、食生活までが詳しく分かり、当時の人々の暮らしを知る上で比類ない史料である。