夕闇通り探検隊

カテゴリ
game > ホラー > 不明
Level
取引価格目安
25,000円
所有者
不特定多数
アイテム説明
概要
1999年10月7日にスパイクから発売されたPlayStation用アドベンチャーゲームである。開発には『トワイライトシンドローム』シリーズの一部スタッフが参加しているが、人員の離散により実際の参加メンバーは少ないとされている。発売当初は目立ったヒットこそなかったものの、後に再評価され中古価格が高騰し、現在では新品未開封品が10万円を超える取引価格となることも多いと言われている。
本作では中学生3人(ナオ、サンゴ、クルミ)を操作し、ベッドタウンとして急速に発展した街・陽見市で囁かれる様々な噂の真相を探る。特徴的なのは、心霊現象よりもむしろ人間が持つ恐怖や不安、あるいは中学生同士の人間関係の暗い側面などにスポットライトが当てられている点である。キャラクターの行動や選択肢によって“霊障”と呼ばれる呪いの度合いが増減し、その値が100に達すると即ゲームオーバーになるという独特のシステムを備えている。
学校シーン、相談シーン、散歩シーン、そして各キャラの帰宅後に展開するプライベートシーンを中心に進行し、期間は5月6日から8月14日までの100日間。プレイ中に入手する数々の噂は、操作するキャラクターによって解決可能なルートが異なり、一周ではすべてを回収しきれないボリュームと作り込みが特徴である。後に舞台化もされるなど、マイナータイトルながら根強い人気と評価を獲得している。
ゲーム内では現実時間での制限時間が設定された場面も多く、まるで本当に深夜の街を走り回って噂を検証しているかのような没入感を与える。とりわけ散歩シーンでは主人公たちの走行速度や同行する犬・メロスの動きにも差があるため、反復プレイで新たな発見がある設計になっている。また、作中には陽見七神と呼ばれる都市伝説のような存在が登場し、街を浸食する“ヨドミ”を食い止めようとする彼らとのやりとりが物語の鍵を握る。
人気のきっかけの一つとして、ホラーゲームでありながら常に生々しい学校生活や家族関係が描かれ、登場人物の繊細な心情変化がプレイヤーの共感を呼んだことが挙げられる。深夜に誰もいない部屋でノートを開くと背後から聞こえる声、別の日には友人と軽口を叩き合いながら町を走り回る青春的なシーン、といった二面性のある演出が後に数多くのファンを生み出したと言われている。
中古市場において数万円から数十万円で取引されることも珍しくなく、プレイしたくても入手難易度が高い“幻のホラーゲーム”として語られてきた。しかし、評価の高まりとともに動画サイトや配信サービスでの実況プレイを目にする機会が増え、独特の世界観を未体験の人々へも広く伝えるきっかけとなっている。
総評
歴史的には『トワイライトシンドローム』の後継という位置付けながら、テーマ性やゲームシステムで独自色を打ち出した隠れた名作である。ゲームとしてはホラーと青春が同居し、都市伝説の存在や奇怪な噂の数々が魅力を放っている。独特のゲームデザインと再評価による流通の少なさから今なお入手困難であり、プレミア価格での取引も多い。誰もが体験したような学園生活のリアルと、どこか異質な闇の噂が交錯する世界観が「懐かしくも気味の悪い」雰囲気を作り出しているといえる作品である。