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Rule of Rose

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カテゴリ

game > アドベンチャーゲーム > 不明

Level

取引価格目安

80,000円

所有者

不特定多数

アイテム説明

概要

『Rule of Rose』は、2006年にPlayStation 2向けに発売されたサイコミステリー・アドベンチャーゲームである。開発元はパンチラインで、発売元はソニー・コンピュータエンタテインメント。1930年代のイギリスを舞台に、不気味な孤児院や飛行船を巡りつつ、主人公ジェニファーの失われた記憶を解き明かす構成になっている。ゲーム内には残酷描写やいじめ、歪んだ愛情表現など重々しいテーマが散りばめられており、華やかな薔薇のモチーフとは裏腹に、とにかく暗く重たい空気が支配的である。

一見するとサバイバルホラーに近い要素があるが、本作はあくまで“サイコミステリー”という位置づけである。探索・戦闘パートも存在するが、それ以上に登場人物同士の関係性や、ジェニファーの深層心理を描く「心理劇」としての側面が強い。貴族ごっこをする少女たちや、犬の相棒ブラウン、一見優しげな少女ウェンディといった存在はすべて謎を孕み、プレイヤーは欺かれながら真実を知る。いじめや陰湿な階級制度などの生々しい題材に加え、大人が介入しない閉じた子供社会の残酷性がえぐり出されているため、人によっては強い不快感やトラウマを覚える可能性がある。

また海外においては、作品中の表現を問題視されて論争が巻き起こったことでも有名である。特にEU圏での年齢レーティングや販売トラブルが取り沙汰され、発売中止や批判キャンペーンが起きた歴史がある。バイオリンの悲痛な旋律が印象的なサウンドや、白組制作のムービー演出など、芸術的に秀でた部分も多い一方、「少女たちの遊び」の域を超えた狂気表現ゆえに、それが却って強いカルト的人気につながっているといわれている。

一度プレイすれば忘れられない独自の世界観と、際立った脚本・演出が本作の特徴である。クリア後は衣装チェンジなどの要素も解放されるが、ゲーム全体を覆う重苦しさは最後まで緩和されない。主人公が辿る結末も、一見救済のようでありながらどこか不完全であり、プレイヤーの胸に奇妙な後味を残す。それすらも含めて、本作の魅力は「愛とは何か」「人間の醜さとは何か」を突きつけられる体験にある。

中古市場やオークションサイトでは現在かなりの高額で取引されており、数万円から数十万円を超える例まで確認されている。需要と流通量が極端に偏っていること、加えて海外での出回り数がさらに少ないことなどが理由として考えられる。いわゆる「マニア向けホラーゲーム」の中でも屈指の希少性を誇り、プレイ難易度よりも入手難易度のほうがはるかに高いという奇妙な状態になっている。

本編のグロテスクさは直接的な流血シーンよりも、精神的に追いつめられるいじめ描写や、倒錯した愛情関係が際立っている点にある。特に犬のブラウンを巡る展開や、孤児院の少女たちによる貢物(いじめ)ルールなどは陰鬱極まりない。主人公の視点そのものが歪められているため、回想や夢想が入り混じり、プレイヤーは常に「何が本当の出来事なのか」わからないまま進む。これは作中で語られない断片を考察する楽しみも生み出す一方で、次々と突きつけられる不条理に強烈なインパクトを見せつけられる体験にもなる。

ゲーム性の面では操作や戦闘の癖が強く、人を選ぶ部分もある。しかし、圧倒的な雰囲気や音楽による世界観への没入感、近年では見ることのできない挑戦的な脚本など、今なお再評価されるだけの理由が揃っている作品である。

総評

『Rule of Rose』は、単なるホラーゲームにとどまらず、人間の心の闇や歪んだ愛情を鮮烈なビジュアルで描く意欲作である。登場人物のほぼ全員が何かに縛られ、悪意や狂気が連鎖しあう閉塞的な世界は息苦しさを極める一方、その完成度の高さは一種の芸術作品にも近い。入手の難しさや内容の特殊性から、決して万人におすすめできるタイトルではないが、その希少性や深みのあるドラマは一部のコレクターから熱狂的な支持を受けている。クレヨンで描かれた仄暗いおとぎ話に潜む狂気を、味わう覚悟があるなら、これほど印象的な体験はなかなか得られないといえる。

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