deSPIRIA 奇ゲー

カテゴリ
game > 奇ゲー > 不明
Level
取引価格目安
20,000円
所有者
不特定多数
アイテム説明
deSPIRIA(デスピリア)とは
ドリームキャスト向けに2000年に発売された、電脳映像製作所が開発しアトラスから販売されたホラー色の強いRPGである。本作の舞台は、終末戦争によって荒廃した未来の大阪。教会が世界を支配し、「マインド」と呼ばれる人々の心を操れる力を持つ者たちが謎多き事件に立ち向かっていくという設定が特徴的である。教会から「異端者」扱いされ排除される者たちのドラマや、残酷かつグロテスクな描写をふんだんに取り入れた世界観が大きな話題を呼び、いわゆる“奇ゲー”とも呼ばれる。
本作では、「マインド」能力を駆使して他者の思念を読み取ったり、記憶を破壊・修復するなどの特殊な行動を行いながら物語を進行していく。戦闘時にはあえて一般的な武器ではなく、プレイヤーの意志によって具現化した生々しくも不気味なクリーチャーを使役するシステムを採用。加えて、血や内臓のイメージ、身体改造の描写など強烈なホラー演出も数多いが、その背景には退廃的な世界観や薬物“スピリア”の蔓延などが意味深に絡んでおり、単なるグロテスク表現にとどまらない独特のストーリー性を持つ。
当時はCEROが設立される前であったため、“暴力・流血・ホラー表現”への注意書きがパッケージに記載され、プレイヤーにショッキングな体験を与えるソフトとして知られている。もっとも、メインストーリーは救いのなさそうな鬱展開が多い反面、サブイベントではコミカルかつブラックユーモアに満ちた掛け合いも展開されるため、そのギャップが意外な魅力を醸し出している。
ゲームとしてはアドベンチャーの手法を用いた探索と、コマンドバトル式の戦闘要素を組み合わせた構成を採用。操作キャラクターである主人公アルーアは「武装侍女団」の精鋭とされ、教会の命令で“異端”とされた者たちや邪な陰謀に巻き込まれていく。「マインドダイブ」による思念世界への探索や、体を改造して性能を高めるバイオ要素など、ホラーとSFが融合したコンセプトが斬新な手触りを生んでいる。ドリームキャストのビジュアル表現や独特の音響演出によって、暗くサイバーな大阪を巡るプレイ感覚は唯一無二だと評価されている。
一方で売り上げ本数は当時のメジャータイトルより控えめであり、いまでは廃盤状態となる店舗も多く、実機での入手難度が上がっている。新たにリメイク版や移植版が出ることもなく、公式に配信されたことも少ないため、レトロなホラーRPGのなかでもコアなファンや熱心な収集家によって話題に上がり続ける作品となっている。独特すぎる内容ゆえにライトユーザーを選ぶ反面、強烈に個性を放つタイトルとしてカルト的な人気を博している。
総評
“奇ゲー”の異名が示すように、本作は重厚なホラー演出や鬱々としたシナリオと、ヒロインをはじめとした登場人物たちのダークかつコミカルな個性が混然一体となった作品である。ドリームキャスト末期の市場で埋もれがちだったものの、一部のマニア層に絶大な支持を受け、語り草となった。ニューゲーム体験の宝庫として語り継がれるこの雰囲気や恐怖演出は、現代ではなかなか再現しづらい魅力を放っているといえる。独特な世界観に惹かれ、レトロ機でのホラーRPGを求める人や、尖ったゲーム作品を好むコレクターには必見のタイトルである。