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The Cat Lady

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カテゴリ

game > アドベンチャーゲーム > 不明

Level

取引価格目安

1,300円

所有者

不明

アイテム説明

序章

『The Cat Lady』は2012年にHarvester Gamesが開発し、Screen 7から発売されたホラーアドベンチャーゲームである。横スクロール型のポイント&クリック操作を主体とし、鬱や自殺といった重いテーマを扱いながらも、ブラックユーモアを交えた独特の世界観を提示していると評されている。主人公は孤独な中年女性のスーザン・アシュワースである。彼女は「Cat Lady」と呼ばれ、近所で野良猫にエサを与えたり、特定の友人も希望もないまま鬱々とした日々を過ごしていた。

ある日スーザンは自殺を図るが、その先で出会った謎の老婆「蛆の女王(Queen of Maggots)」から、五名の凶悪な殺人鬼=“寄生虫”を排除すれば新たな人生を与えると告げられる。この契約によってスーザンは不死の力を得て、死を繰り返し乗り越えながらも寄生虫たちと対峙していくことになる。作品はホラー的演出や陰鬱な詩的表現が多く、ストーリーは時折フラッシュバックを交えながら進行し、会話の選択肢によって若干の分岐が生まれる点が特徴とされている。

操作系はキーボードの矢印キー中心で、上下が調査やアイテム使用、左右が移動に割り当てられるシンプルな形式になっている。謎解き要素は比較的易しめだが、ゲーム中の残酷描写や鬱展開があるため、プレイヤーによっては内容が重いと感じられる場合もある。なお時系列を前後させる演出が多用され、選択した会話次第では微妙に展開が変化することがある。登場キャラクターそれぞれが強い個性を持ち、特にスーザンを支える同居人のミッチ・ハントは大きな物語の鍵を握っている。

本作はRemigiusz Michalskiによる“Devil Came Through Here”三部作の二作目にあたり、初作の『Downfall』リメイク版や三作目『Lorelai』とも世界観が繋がっている。『The Cat Lady』においては不死の力を与えられ、何度も死に戻る形で敵に立ち向かうスーザンの姿が描かれ、精神的苦悩を乗り越えるまでの物語が骨子となる。憂鬱さとホラー要素を融合させた表現は高く評価され、Metacriticでは81/100というスコアを得ている。

さらに、一見救いのない暗いストーリーの中にも皮肉やブラックユーモアが散りばめられ、登場人物との会話シーンでは時折コミカルなやりとりや、心温まる展開が差し込まれるなどの工夫がなされている。同時に銃撃戦や直接的な戦闘システムではなく、パズル的な要領で進行するため、純粋にストーリーを味わいながらゲームを進められる構成も特徴である。

また音楽面では70分以上のオリジナルサウンドが用意され、作品が持つ鬱屈した雰囲気をより一層引き立てる。すべての会話にはフルボイスが用意されており、キャラクター同士の掛け合いも没入感を高める大きな要因になっている。プレイヤーはスーザンの選択を通じ、人間の孤独や再生、そして生死にまつわる哲学的な問いを間接的に体験することになる。

総評

『The Cat Lady』は鬱展開や暴力的描写を伴うが、だからこそ重厚なストーリーテリングが際立つ作品である。操作は簡潔で、謎解きの難易度は高くないが、シナリオや演出は奥深く、心理的に踏み込んだテーマを堪能できるホラーアドベンチャーとして仕上がっている。暗い世界観の中にもわずかな希望や救済が見え隠れし、プレイヤーには道徳心や生命観を考えさせる余地を残す作品でもある。ハードなテーマに抵抗がなければ、独特の美学と物語世界を体験する価値は十分にあるだろう。なお、現状誰でも購入可能なゲームであるためにRelicとしてのレベルは1となっている。

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