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ゆめにっき

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カテゴリ

game > 奇ゲー > 不明

Level

取引価格目安

0円

所有者

不特定多数

アイテム説明

概要

『ゆめにっき』とは、RPGツクール2003を用いて制作されたフリーゲームである。開発者は“ききやま”という名義の人物で、2004年に初版が公開されて以来、長らく謎多き作品として語り継がれている。ゲーム内容は「主人公の少女が夢の中を歩き回る」というシンプルなものだが、その世界は極めて不気味かつ広大で、台詞や明確なストーリーがほとんど存在しないため、プレイヤーに強烈な考察意欲を抱かせる作品として知られている。

プレイヤーは主人公“窓付き”を操作し、ベッドで眠ることで夢の世界に入り込む。そこには無数の扉が並ぶエリアがあり、それぞれの扉から、おどろおどろしいマップや幻想的な空間へと移動できる。各マップには「エフェクト」と呼ばれるアイテムが散在しており、これを集めることが一応の目的とされるが、明確なゴールやメインストーリーは提示されない。かわりに、数多くのグロテスクな演出や不気味な生物との遭遇、そしてナチュラルに散らばる奇妙な情景が積み重なり、独特の世界観を形作っている。作品内ではほとんど説明がなされないため、プレイヤーは自らマップを探索し、そこに隠されたかもしれない断片的なヒントを手掛かりに、ストーリーや設定を推測し続けることになる。

本作が注目を浴びるようになったきっかけは、匿名掲示板での話題や動画サイトでのゲーム実況などによる口コミによるところが大きい。その結果、日本だけでなく海外のファンコミュニティも形成され、多くの二次創作や派生作品が登場した。「ゆめにっき派生」と呼ばれる関連フリーゲーム群はもちろん、漫画版や小説版などのメディアミックスも行われ、“Project Yumenikki”という公式企画が立ち上がるに至った。また、Steamでも無料配信され、世界的に知られるインディーゲームとなっている。

フリーゲームという性質上、価格がつけられないアイテムではあるものの、本作はゲーム文化史において非常に特異なポジションを占めており、一部のクリエイターやコレクターの間では“伝説的存在”として高い認知度を獲得している(なお、無料入手可能という背景を踏まえRelicとしてのレア度は1になっている)。人気RPG『Undertale』の作者Toby Foxが作品への影響を公言するなど、海外のクリエイターにも衝撃を与えた例は多い。開発者が長らくパブリックな場に姿を見せないため、作者自身のプロフィールや制作意図については未だに大きな謎のままとなっている。

『ゆめにっき』はその不可解さと耽美的な世界観から、一見ただのホラーゲーム的な印象を与える。しかし、全編を通してストーリーらしきものが語られず、空想をかきたてられる構成上、ファンは登場キャラクターがわずかに発する仕草や背景のモチーフに無数の解釈をめぐらせてきた。作中では“窓付き”がどんな過去を背負い、何故これほど不気味な夢を見続けているのか、作品中で直接説明はされない。しかし、それゆえに多様な想像や議論が可能となり、フリーゲームでありながら長期間にわたり強い人気を保ち続けているのだ。

やがて2018年に公式リイマジン版として『YUMENIKKI -DREAM DIARY-』が登場。これは原作者による監修を受けつつ、3Dアクション要素や新規解釈を取り入れた一作であり、従来のファンに大きな衝撃を与えた。原作と異なる部分も多く賛否を招いたが、いまなお“夢の世界”というキーワードで多くのクリエイターやゲーマーに影響を与え続けている。

歴史的経緯と価値

2004年の初公開から徐々に口コミで話題となり、フリーゲーム界隈を中心にカルト的人気を博してきた。大手ダウンロードサイトでのランキング入りやSNSでの二次創作ブームによって、完全匿名の開発者が作り出した怪作として急速に知名度を拡大した点は特筆に値する。さらに英語版などの多言語展開やSteam配信が行われたことで海外でも“考察ゲーム”として位置づけられ、現在ではレトロフリーゲームの金字塔として半ば伝説的なステータスを獲得している。作者が公の場に現れないことやゲーム自体が夢という抽象概念を題材にしていることから、両者が織り成す不可解さと神秘性は、他にはない魅力をいっそう増幅させている。

総評

『ゆめにっき』は、空虚と不気味さ、生々しい恐怖と儚い幻想が絶妙に同居する、唯一無二のフリーゲームである。ストーリーを明確に語らないにもかかわらず、プレイヤーに強い想像力と考察意欲をかきたてる仕掛けがあり、多数の派生作品やコミカライズ版、リメイク作品へと広がりを見せた。物語が語られないからこそ、これほど長きにわたり多彩な解釈が生まれ、多くのファンが深く没頭する文化的現象を引き起こした点も大きな魅力だと言える。異形のキャラクターたちや特異なイベントの数々は、フリーゲームという枠組みを超えて世界に衝撃を与え続けるだろう。